「サウナに入ると多幸感を感じられる」
もしかするとそれ「幸せホルモン」が関係しているのかもしれません。
実はそれ、幸せホルモンのひとつ「ドーパミン」が関係しているのかもしれません。
☑︎サウナに入るとドーパミンが出る?
☑︎ドーパミンの過剰摂取でサウナ依存症になる?
今回は、サウナとドーパミンの関係性について解説していきます!
1.そもそもドーパミンとは?
ドーパミンとは、脳内でつくられる「神経伝達物質」のひとつ。もっと簡単にいえば、生命活動をコントロールするために指令・合図を出す成分です。
セロトニン、オキシトシンと並ぶ「3大幸せホルモン」のひとつで、適切な量が分泌されることで心身の安定、幸福感を味わえることから「幸せホルモン」と呼ばれています。
ドーパミンが分泌されるのは、主に「楽しい」と感じる経験や達成感を味わえるとき。
例えば、
・気心知れた友達と長時間おしゃべりした
・カラオケで大声で歌ったり叫んだりした
・近所をゆったりジョギングした
・仕事後に甘いスイーツを食べた
こういった出来事を経ると脳内でドーパミンが分泌され、快楽・幸福感を得られます。分泌量が増えると意欲が出てポジティブになる特徴があります。
2.サウナでドーパミンは出る?出ない?
サウナに入ると、快楽をもたらす「ドーパミン」は分泌されるのか。
さまざまな書籍を調べてみましたが「サウナに入るとドーパミンが分泌される」といった明確な答えは見つかりませんでした。
ただ、
①サウナで過度な刺激を求めるとドーパミンが枯渇し「サウナ依存症になる」
②ドーパミンは「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」に生成する前の物質(前駆物質)である
③サウナ・水風呂に入ると、脳内麻薬と呼ばれる「エンドルフィン」や
興奮状態で分泌される「アドレナリン」「ノルアドレナリン」などのホルモンが分泌される
こういった記述を見つけることができました。それぞれ、解説していきます!
①サウナで過剰な刺激を求めると「サウナ依存症」になる
アツアツのサウナ、キンキンの水風呂。
サウナでより刺激を求めるようになると「サウナ依存症」に陥る可能性があります。これは、サウナの刺激によって分泌される「アドレナリン」が枯渇することが原因です。
アドレナリンは、興奮状態になると分泌されるホルモン。分泌されると疲れや痛みを感じにくくなり、いつもより力を発揮できるようになります。刺激を求めすぎるとこのアドレナリンが枯渇し、一からアドレナリンを作り出すことが求められます。
この材料になるのが、ドーパミンです。
↓
アドレナリンが枯渇する
↓
ドーパミンを元にアドレナリンを生産
↓
過剰に分泌されるとドーパミンの効きが悪くなる
こうして刺激を求めすぎると、サウナでしかドーパミンが分泌されず、日常生活で意欲が低下してしまうんです。これが「サウナ依存症」が生まれるメカニズムです。
・サウナで刺激を求めすぎると、ドーパミンが枯渇し「サウナ依存症」になる
・サウナ依存症になると、サウナ以外でドーパミンが分泌されず、日常生活の意欲が低下する
・刺激を求めなければ、正しい量のアドレナリンが分泌される
②ドーパミンはアドレナリンの前駆物質
サウナとホルモンの関係を知らべていくと、サウナに入ると「アドレナリン」「ノルアドレナリン(※)」が分泌されるという記述を見つけることができました。
『サウナ室、水風呂に入ると、アドレナリンとノルアドレナリンが出ます』
引用元:加藤容崇著,『医師が教えるサウナの教科書』,ダイヤモンド社,2020年3月,109ページ
さらに調べていくと「アドレナリン」と「ノルアドレナリン」が分泌されるには「ドーパミン」が必要だということが分かりました。
『ドーパミンは、アドレナリンやノルアドレナリンに生成する前の物質(前駆物質)である。』
引用元:「看護roo!」用語辞典より
前駆物質とは、ある物質が生成される前の物質のこと。
ただ、ドーパミンは蓄積が可能。つまり、「サウナに入る=ドーパミンが出る」という明確な答えへ結びつかせることはできませんでした。
・サウナに入ると「アドレナリン」と「ノルアドレナリン」が分泌される
・ドーパミンは、「アドレナリン」と「ノルアドレナリン」が生成される前の物質
(※)ノルアドレナリン:意欲や活動生、思考力、集中力などを司さどるホルモン
③サウナに入るとドーパミンと同じ「幸せホルモン」が分泌される
熱い「サウナ」と冷たい「水風呂」に交互に入ると、人間の身体は「心拍」「血流」「自律神経」「脳内ホルモン」などの力を総動員し、危機的状況に適応しようと奮闘します。
このとき「脳内ホルモン」として分泌されることがわかっているのが、
②アドレナリン
③ノルアドレナリン
です。
②アドレナリンと③ノルアドレナリンの特徴については、前述の通り。
①エンドルフィンとは、快楽物質と呼ばれるホルモン。分泌すると鎮静効果・幸福感が得られることから「脳内麻薬」と呼ばれることも。
サウナ浴は、サウナ→水風呂→外気浴でそれぞれ自律神経に刺激を与えることで「ととのう」状態を生み出します。そして、この「ととのう」状態が、「ランナーズ・ハイ(※)」と似た状態にあると言われているんです。
※ランナーズ・ハイ:マラソンなどの長距離を走っている際、次第に苦しさが恍惚感に変わっていくことを例えた言葉
サウナもこうした「ランナーズ・ハイ」と同じく、急激な温度差から身を守るために快楽ホルモンである「エンドルフィン」を分泌させるのではないか、という見解があるんです。
ドーパミンは、ストレスになるようなツライ状況を乗り越えたときの達成感を味わった際に分泌され、エンドルフィンは、ストレスや快楽、感動などを覚える場面などで分泌されます。
どちらも脳内で分泌されるホルモンで、分泌されるとポジティブな気分になります。
「サウナに入るとドーパミンが分泌される」という記述は見つけられなかったが、サウナに入ると幸せホルモンのひとつである「エンドルフィン」が分泌される
3.【結論】サウナに入ると幸せホルモンが分泌される
「サウナに入るとドーパミンが分泌される」といった記述は見つけられませんでしたが、
サウナに入ると
ノルアドレナリン
エルフドルフィン
が分泌されることが分かりました。
・エンドルフィンは、ドーパミンと同じ幸せホルモンのひとつ
これ以外にもサウナに入ると、
(脳の疲れを癒して、気分を安定させる。サウナに入ると気持ちがおだやかになる)
(セロトニンは、気持ちを安定させるホルモン。ノルアドレナリン、ドーパミンのバランスを支えるホルモンでもある)
「オキシトシン」「セロトニン」など、ドーパミンと並ぶ幸せホルモンが分泌されることがわかりました。
「サウナに入るとドーパミンが分泌される」という記述は見つけられませんでしたが、ドーパミンは、未経験のチャレンジや新しい刺激を得られると分泌されやすくなります。
・自然豊かな場所でサウナにはいる
・サウナの聖地と呼ばれる場所に赴く
などなど、こういった場面で分泌されやすいかもしれません。
生命活動をコントロールするのに必要不可欠なホルモン。サウナを活用して、上手にホルモンと付き合っていきましょう!
参考文献
・加藤容崇著,『医師が教えるサウナの教科書』,ダイヤモンド社,2020年3月,108-111,182-183ページ
・加藤容崇著,『医者が教える 究極にととのう サウナ大全』,ダイヤモンド社,2023年7月,218-220ページ
・早坂 信哉 監修,『名医がやっている 正しいサウナの入り方』,宝島社,2023年7月,7ページ
・早坂 信哉 監修,『心と体に効く究極の入浴医学 銭湯検定公式テキスト2』,株式会社草隆社,2020年5月,178-179ページ
・「 三栄書房,2024年6月,52,69ページ
・東洋経済.『サウナ=寝つき良くなる」本当か?納得の”答え”よく眠れない人必見!「ポイントは3つ」ある!』