普段利用しているサウナ室を思い浮かべてみると、壁や椅子、床は木材で作られていることがほとんどです。
石や竹など木材以外の材料でできたサウナ室もありますが、数は圧倒的に少ないです。
なぜ、サウナ室は木材でつくられることが多いのでしょうか。また、サウナ室に適している木材にはどんなものがあるのでしょうか。
今回の記事では、サウナと木材との関係を解説していきます。
サウナが木で作られる理由
一般的なサウナは、壁やベンチが木で作られています。なぜ石やコンクリートなどではなく、木が使われることが多いのでしょうか。
一説によると、古くからサウナを楽しむ文化のあるフィンランドには木造のコテージやサウナが多かったことが理由とされています。
フィンランドには風呂場やサウナに木材を使うという伝統があり、その名残で今もサウナに木材が使われていると考えられているようです。
温度や湿度を調整しやすい
サウナで気持ちよく汗をかくためには、温度と湿度の調整が欠かせません。
木材は空気に含まれる水分を吸収・放出して湿度を調整する特徴を持ちます。そのため、サウナ室内を快適な湿度を保つためには木材が適しているといえるでしょう。
また、木材は高温の室内においても熱くなりすぎないため、肌に直接触れる可能性があるベンチや床にも採用されやすいのです。断熱材のような効果もあるため、一度上がった温度を保ちやすいこともサウナに向いている材料と言われる理由の一つです。
リラックス効果が期待できる
木材の香りには気持ちを落ち着かせてリラックスさせる効果があると言われています。サウナの内装に木材を用いることで、自然の中にいるような感覚になれるのも木材が採用される理由として挙げられます。
新しいサウナ施設などではたまに木の香りがふわりと漂ってきて、なんとなくリラックスできる気分になる場合もありますよね。
サウナで使用される木材の種類
サウナで使用される木材にはさまざまな種類があります。
ここではその一部を紹介します。
- レッドシダー
- ヘムロック
- パイン
- スプルース
- ヒノキ
- ケロ
レッドシダー
レッドシダーはヒノキ科の針葉樹で、撥水性に長けているという特徴を持ちます。樹脂を分泌したり、熱くなりすぎたりしないのも、サウナ室に適しているといえるでしょう。
2022年4月に開業した「屈斜路湖サウナ倶楽部」では、内装および外装にウェスタンレッドシダーを用いています。
木の香りが特徴的で、香りからもリラックスできる空間とのこと。味噌樽を使用した深い水風呂も気持ちよさそうですね。
https://twitter.com/hamasaki_sauna/status/1570419018510790658?s=20&t=OL-OWAToddm58Y27235CPQ
ヘムロック
ヘムロックは、遠赤外線サウナなどでよく用いられる木材です。比較的安価で手に入りやすく、耐久性が高いことから、幅広く人気があります。
熱を加えてもあまり反らずに均一に熱を放出するという点でサウナ室内の壁に適しています。
木の香りが少ないのも特徴で、香りに敏感な方にもおすすめです。
パイン
パインはマツ科の針葉樹で、木材としてはサウナ室の外壁によく用いられます。日本でいうところの「松」で、フィンランドでもメジャーな木材です。
サウナーには後述する立ち枯れのパイン材=ケロの方がよく知られているかもしれません。パイン材を使ったサウナ室は高級感のある見た目になりやすいのも特徴的です。
スプルース
スプルースは「トウヒ」と呼ばれる木の種類のひとつで、主にヨーロッパに生息しています。密度が高いため、重くて硬いのが特徴で、耐久性の高いサウナ室を作り出せます。
色は明るく白っぽいため、サウナ室内が明るい雰囲気になるのも良いですね。
佐賀県にある宿泊施設蟹御殿内の「有明海の湯」には、樹齢350年〜400年のスプルースが用いられている「グラヴィティサウナ」があるそうです。
目の前に広がる有明海の青とスプルースの白がマッチしていて、とても美しい景色が楽しめます。
ヒノキ
ヒノキは日本特産の樹木で、わたしたちにも馴染み深い木材です。温泉施設などでの檜風呂は有名ですが、ヒノキはサウナ室の材料としても用いられています。
特有の香りと加工のしやすさが特徴的で、見た目にも光沢があります。
「アクア東中野」は2021年に男湯サウナの床・椅子・壁を全てヒノキに張り替えたとか。写真からもヒノキの良い香りが伝わってきそうです。
https://twitter.com/aqua_tokyo1010/status/1438072324918448128?s=20&t=OL-OWAToddm58Y27235CPQ
ケロ
ケロは樹齢200年を超えるパイン(松の木)のことで、シルバーパインとも呼ばれます。松の木が立ったまま枯れて、腐らずに数百年以上残ったものを指すため、非常に貴重な木材としても知られています。
日本国内では、東京・池袋の「かるまる」や千葉の「舞浜ユーラシア」、静岡県の「清流荘」などでケロサウナを楽しめます。
ケロとは、北極圏以北で樹齢二百年以上の立ち枯れたパインツリーのこと。気の遠くなるような年月が生んだ木材は気密性が高く、熱伝導が悪いためサウナに最適とされ、木の宝石とも言われます。
フィンランドから取り寄せたケロ材で建てたログハウスはほのかに森の香りがします。 pic.twitter.com/wFwwqNvamY— 伊豆下田蓮台寺温泉 清流荘 (@seiryuso) April 3, 2021
まとめ
今回は、サウナ室内で使われる木材について紹介しました。
あなたのホームサウナではどんな木材が使われているでしょうか?これまで気にしたことのなかった人は、ぜひこの機会に確かめてみてください。
複数のサウナで木材の違いを比べてみても面白いかもしれませんね。