「空前のサウナブーム」と謳われた2019年。ユーキャンが発表した流行語大賞に「ととのう」がノミネートされた2021年。
サウナブームと言われた2019年から早4年が経過し、いまや、サウナはブームではなく「カルチャー」として根付き始めたという話もよく耳にしますよね。
そこで今回は、過去サウナブームについて調べた経験のある筆者が「サウナブームの今」について考えていきたいと思います。
サウナブーム後のサウナ業界には、どのような変化があったのでしょうか?
サウナブームがなぜ起きたのか考察した過去の記事もぜひ読んでみてください。
サウナブームから4年後の今【2024年春】
①サウナー以外にも「サウナ」が受け入れられる
2019年のサウナブーム以降、サウナ好きを公言する人が増えたように思えます。これは、老若男女、幅広い年齢に「サウナ」の楽しみ方が浸透し、「サウナ好き=おじさんっぽい」というイメージが払拭されたからです。(確実にドラマ「サ道」の影響)
2024年現在はというと、もともとサウナに興味がなかったあたらしい層にまで「ととのう」などのサウナ用語が浸透し始めたなと感じています。
少し前まで、「あ〜サウナね、流行っているよね〜」で流されてた話も「サウナで”ととのう”って本当にすごいらしいね」「熱波?ロウリュ?ってものすごい熱いって聞いたよ」など、サウナに行ったことはないけど【興味が出てきた人】【コアなサウナ情報を知っている人】が増えてきたように思えます。(筆者の肌感)
現に「ととのう」「ロウリュ」などのサウナ用語も、サウナ未経験の人にまで届いていたり、サウナを頭ごなしに否定する人が減っていたり。「行ったことはないけど、いいらしい」が広まって、サウナそのものが受け入れられるようになったなと。
これは、サウナブームによって「サウナ愛好家」「サウナー」が増加し、以前よりも「サウナの良さ」「サウナの魅力」に触れる機会が増えたからだと考えています。また、TV番組、ドラマ、雑誌などでサウナがよく取り上げられるようになったのも、大きな要因かもしれません。
②サウナ特化型の新店舗がオープン
『渋谷SAUNAS』や赤坂『サウナ東京』、大阪心斎橋『大阪サウナDESSE』など、2022年〜2023年には【サウナ特化型】と呼ばれるサウナ施設のオープンが相次ぎました。
サウナ特化型施設とは、サウナをメインにしたサウナ施設のこと。
多彩な湯船や温泉が楽しめる温浴施設やスーパー銭湯とはちがい、サウナ特化型は、豊富なサウナ室、水風呂、ととのいスペースの充実度などが重要視されます。
サウナブームにより「湿度の高いサウナが好み」「昭和ストロングスタイルが好み」「水風呂は15度がすき」「サウナ室は黙浴がいい」「おしゃべりしたい」などなど……サウナ人口が増えたことで、多様なニーズが求められるようになりました。
さまざまなニーズに応え、趣味嗜好の異なる人たちがそれぞれの楽しみ方を見つけられる……サウナ特化型施設は、多様性が求められる現代だからこそ生まれた、と言えるかもしれませんね!
③サウナを新設・改修する銭湯が増えた
サウナブームに伴い、サウナを新設したり、フルリニューアルしたりと、サウナに力を入れる銭湯が増加しました。
例えば、東中野にある『松本湯』。2021年、全国のサウナ施設を見て回った店主のこだわりがつまったサウナ室、そして浴室にフルリニューアル。「これは銭湯サウナのレベルじゃない……」と、サウナーたちの間でも瞬く間にその人気が広まりました!
池尻大橋駅近くの『文化浴泉』は、2023年3月にサウナ室を拡張・アップグレード。リニューアル前からかなり人気の銭湯だったため、サウナ室の大幅リニューアルには驚かされました!
他にも、品川区にある老舗銭湯『富士見湯』がサウナ専用ルーム(サウナ・水風呂・ととのいスペース完備/男性専用)を新設したり、東京狛江市にある『狛江湯』がオートロウリュ付サウナ、ビアバーを導入したリノベ銭湯に生まれかわったりと、多様な変化を見せています。
④サウナ×〇〇の組み合わせが増えた
温浴業界だけでなく、キャンプ場などのアウトドア業界やホテル業界、旅行業界からも、年々「サウナ」の注目度は上がっていると感じます。
特に「アウトドア」と「サウナ」は非常に相性がよく、キャンプ場で独自にテントサウナやバレルサウナを導入し、新たな客層を狙う動きが見て取れます。
また、2023年に全室サウナ付きの旅館『Ryokan&Sauna Yorozuya Hita』が大分県日田市にオープンしたのも記憶に新しいです。現在は、サウナ目的で旅をする人もめずらしくなく、宿泊先を探す条件のひとつに「サウナがあるか、ないか」と、新しいニーズを求める層が増えてきたように感じます。
新設されたホテルにプライベート付きサウナ付きの客室が新設されたり、コテージや古民家にサウナ付きプランができたりと、「サウナ×ホテル」・「サウナ×旅」・「サウナ×リトリート」などなど、サウナ+αの体験ができる場所を人々が求めているようにも捉えられますね。
サウナにはまだまだ可能性が秘められているのかもしれまません。
サウナブームのこれから 2024ver.
サウナブーム以降のサウナ業界をみていくと、より多様性を求められる時代になったと感じます。
個室サウナ、サウナ特化型施設、温浴施設、街の銭湯、飲食店兼サウナ施設、キャンプ場、ホテルなどなど……さまざまなニーズに応えるサウナがどんどん登場しているからです。
当たり前のように自宅に湯船があるように、いつかサウナも当たり前のように自宅で入れる……そんな時代も来るのかもしれませんよね。(願望を含まれますが)
サウナはもはや「流行っている」といった一時的なものではなくなってきたように思えます。
2019年にサウナブームが起こった要因はさまざまですが、ストレス社会とサウナの相性が非常に良かったということもひとつです。ストレス社会は2024年の現在も変わりません。情報にあふれ、いろんなストレスを抱える人たちが共存しています。こんな現在において、心も体も裸になって、デジタルデトックスできる「サウナ」という場所は必要不可欠です。
今後のサウナ業界がどう変わっていくかは分かりませんが、わたし自身はこれからも引き続き、サウナ愛を深めていきたいと思っています。みなさんも自分なりのペース、楽しみ方で、引き続き”この時代のサウナ”を楽しんで欲しいです!